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投資戦略の発想法/木村剛著/講談社/1,785円




Grow Rich Slowly-ゆっくりと金持ちになろう

と語りかけてくるのは木村剛氏。
いまや小泉政権のブレーンとして名高い(最近の某週刊誌で、ほとんど言いがかりのようなゴシップ記事に
その名が大書されていたが)、Kfi代表の金融コンサルタント。
株価の上下に一喜一憂させるマネー雑誌華やかなりし頃、ふと何気なくこの本を手にして、
目からうろこが落ちる思いで一気に読んだ。

一般的な投資の常識を論じた後、日本経済が悪化するリスクに備えての運用に言及する「戦略編」の箇所は圧巻。
ばへっとは池袋のカフェでこれを読んだ。
ひとりこれを読み、そら怖ろしく感じたものだ(ある種のホラーともいえる)。

彼は、「現在のカネ余りの程度は常軌を逸している」と指摘する。
続けて「このカネ余りのことを過剰流動性といいますが、インフレの前には必ずこのような過剰流動性が
存在していました」と。

インフレに強い資産(たとえば優れた企業の株式)を持つことで、将来インフレが日本を襲ってきたときも、
耐えられるような投資戦略が必要なのだ、と論じる。

実際に、将来がどうなるかは、もちろんそのときになってみなくては分からない。
デフレが続くのかもしれないし、インフレが襲い来るのかもしれない。

しかし大切なのは、厳然と存在するそういったリスクを正面から見据え、どんな状況にあっても対処可能な
体勢を整えておこうという「発想法」なのではないか。

もしもばへっとが、「日本人が著した本の中でどれか一冊を選べ」といわれたとしたら、迷うことなく選ぶであろう本が
これである。


ばへっと
Jan. 3, 2004


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