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ばへっと特製!会社分析レポート 第6弾
3733 株式会社ソフトウェア・サービス
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ばへっと特製!会社分析レポート 第6弾
3733 株式会社ソフトウェア・サービス
みなさんこんにちは。楽しい投資研究所のばへっとですよ。
お久しぶりの会社分析レポート、今回は大阪からお送りしてます。
今回取り上げるのは、医療機関向け電子カルテシステムを主力としてビジネスを展開する
株式会社ソフトウェア・サービス。
まずは定石、会社が展開するビジネスの理解から始めましょう。
会社の事業の内容はこんな感じ。
◆ 医療情報システム(電子カルテ、オーダーエントリーシステム)の開発・販売・導入指導。
◆ 会社が提供するシステムのユーザーに対する保守サービス
◆ システム導入に伴って必要となるサーバーなどの販売
そのビジネスの流れを図示したのがこちらですよ。
(PDFファイル・バージョンに記載)
ここまでの内容は、有価証券報告書に記載の【事業の内容】から読み取ることができます。
有報ではソフトウェア事業とハードウェア事業それぞれの売上高・売上原価情報を開示してくれています。
いい姿勢ですね。好感。
ところで直近2期の売上と粗利益、粗利率を示したのが次の表。
(単位:千円)
|
H15/4
|
H16/4
|
|
S/W
|
H/W
|
S/W
|
H/W
|
売上高
|
2,153,305
|
698,011
|
2,499,062
|
1,005,610
|
粗利益
|
1,202,133
|
63,937
|
1,342,368
|
99,903
|
粗利率
|
55.8%
|
9.2%
|
53.7%
|
9.9%
|
(S/W:ソフトウェア、H/W:ハードウェア)
さすがといいますかやはり、ソフトウェア事業(会社の主力は電子カルテシステム「e−カルテ」)の利益率が圧倒的。
一度作ってしまえば追加原価は少なくて済む、これがソフトウェアの最大の強みなんだよね。
この粗利率の高さが会社の収益性の原点。この収益の柱たるソフトウェア事業の将来性が、この会社の将来性に
直結するといっても過言ではないです。
意外に知られてないのかもしれないけれども、有報の最も有用な情報は最初のページに載っていたりします。
直観的に理解しようとすれば、エクセルのグラフ機能は重宝します。
そういうわけで、ビジュアルに表現した業績推移はこちらですよ。
(PDFファイル・バージョンに記載)
(単位:千円)
|
H12/4
|
H13/4
|
H14/4
|
H15/4
|
H16/4
|
売上高
|
920,005
|
1,483,013
|
2,459,285
|
2,851,317
|
3,504,673
|
経常利益
|
321,175
|
484,184
|
742,244
|
973,046
|
1,034,459
|
純利益
|
169,557
|
251,346
|
389,717
|
536,108
|
585,197
|
営業CF
|
|
|
535,880
|
513,536
|
99,694
|
投資CF
|
|
|
(493,841)
|
(514,556)
|
(654,717)
|
財務CF
|
|
|
72,150
|
(64,662)
|
1,114,269
|
ROE
|
63.7%
|
45.4%
|
35.6%
|
32.1%
|
21.2%
|
経常利益率
|
34.9%
|
32.6%
|
30.2%
|
34.1%
|
29.5%
|
純利益率
|
18.4%
|
16.9%
|
15.8%
|
18.8%
|
16.7%
|
(H16/4期の有価証券報告書【主要な経営指標等の推移】を基に作成)
売上高は堅調に伸びていて、(売上高)経常利益率も30%程度の水準を維持。
ROE(株主資本利益率)はあいかわらず高い水準にあるのだけれども、かつての水準から見れば、
かなり落ちてしまっている。
これは利益の積み重ねが自己資本を厚くし、分母が大きくなったことから、これまでと同水準の利益を
たたき出したとしても、ROEは下がらざるを得ないという理屈。
損益とあわせてみておきたいのがキャッシュ・フロー(CF)。
損益はある程度の操作が可能であるのに対して、現金の流れはどうにもごまかしようがない。
キャッシュの流れは会社にとっての血液の流れにも等しい大切なところ。
会社のCF推移を眺めていて気になったのが、営業CFの大幅な減少。
H15/4期は5億を越えるキャッシュ・インがあったのに、H16/4期は1億未満に落ち込んでいる。
その理由を知りたいと思ってキャッシュ・フロー計算書を眺めてみました。
すると営業CFの減少は、売上債権残高の増加が大きく影響していることが分かりましたよ。
ここで視点を変えて、売上債権の回転期間も眺めてみました。
ここでいう回転期間とは、売上債権の残高が売上高の何か月分に相当するか、というもの。
H15/4期末は1.3ヶ月(分の売上に相当する売掛金)だったのに、H16/4期末は3.9ヶ月に
まで伸びている。
つまり売上規模に比べて売掛金が異様なまでに膨らんでいるということ。
その理由は何なのか?有報を読み込んでみたのだけれども、その答えは結局見つかりませんでした。
だから、これ以上このことについて言及しても、それは憶測の域にとどまってしまいます。
ただ、いえることは、これまでとは異なるタイプの売上が、H16/4期に計上されたということだけです。
会社は、H16年2月にヘラクレス上場を果たしています。
上場直後に膨れ上がった売上債権が、何を意味しているのかは分かりません。
ここでは、これ以上詮索することなく、謎は謎のまま、話を先に進めることにしますね。
ちなみに翌期(H17/4期)上半期の業績がすでに公開されているのでこっちも見てみました。
(単位:千円)
|
(半報)
|
(半報)
|
|
H15/10
|
H16/10
|
売上高
|
992,599
|
1,377,893
|
経常利益
|
180,723
|
94,991
|
純利益
|
98,791
|
51,716
|
営業CF
|
(87,779)
|
73,919
|
投資CF
|
(99,253)
|
(231,052)
|
財務CF
|
(122,200)
|
(163,232)
|
経常利益率
|
18.2%
|
6.9%
|
純利益率
|
10.0%
|
3.8%
|
(H17/4期の半期報告書より作成)
売上は前年同期比を上回る額を計上していますね。ひょっとして好調?
けど利益率がかなり落ち込んでいる模様。
なぜ?と思ったら、きちんと説明してくれています。
「開発・営業・導入指導・保守サービスの人員増強から、労務費・人件費が増加、これが利益圧迫
要因になった」とのこと。
しかしそれ以上に気になるのは粗利率の低下。
労務費負担が大きくなって原価率を引き上げた(=粗利率が減少した)ということらしい。
また、過去2年間に渡って行われてきた厚生労働省の(電子カルテシステム導入推進策としての)
補助金制度が、平成16年度は実施されなかったというのが、会社にとっては正直、痛い。
これから、もしも補助金制度がなくなるとしたら、得意先であるところの医療機関の投資意欲が減退、
これまでに比べて受注が厳しくなることが予測できる。
最近出た”日経会社情報”によれば、厚生労働省の補助金停止が響いて受注がふるわなかった模様。
そしてこの業界、他に違わず競争が激化している様子。
会社は機能向上や原価管理システムの開発を通じて差別化を図ると同時に、大規模病院をターゲットに
営業力強化に乗り出したりと奮闘中。そうなってくれば、そりゃあ人件費膨らみますわな。
踏ん張りどころなんだね。
さて、次は大株主を見てみましょうか。
筆頭株主は宮崎勝氏。昭和14年1月生まれ。
H16年10月末現在、約47%の持分を保有。
宮崎氏はこの会社の代表取締役社長。オーナー経営者ですね。
第2位の大株主は津野紀代志氏。この会社の監査役でもある(公認会計士らしい)。
彼の持分は5.8%。
圧倒的な持分を有しているのが、経営トップであるところの宮崎氏。
一般の株主にとって、経営者にまずお願いしたいのは、「オーナーの如くふるまってほしい」ということ。
この会社の場合、経営者自身が最大の持分を持つオーナーであるわけだから、株主の立場に立って
経営してくれているということは十分期待できるよね。
ただし、オーナー経営者が絶大な力をふるうということは、ある意味、彼の経営者としての力量に、大きく
依存しているということでもある。
こういう立場の経営者が暴走すると、誰もストップできないという危うさがあるのもまた事実。
どんなに優れた内部統制が敷かれていたところで、力ある一人の人間がモラルを欠いた行動を取れば、
それは何ら機能しなくなる。
このことは、経営者の誠実性こそ最高のインターナル・コントロールなのだということを教えてくれます。
(宮崎氏の誠実性についてどうこう言っているわけではありませんよ。そんなことはこれだけじゃ分かりっこ
ありませんので)
ところで代取社長の宮崎氏、簡単な経歴紹介が有報に載っています。
以前は日本IBMに勤めていたとのこと。
ただ「サラリーマンは向いておらず、独立することにしました」とか。ばへっとと同じだ。(苦笑)
彼のインタビュー記事がこちらのサイトにありました。
著作権の関係で、ここに記載はできないのでアレですが、彼の人となりを知るのに良い内容だと
思いましたのでこちらにリンクしておきますね。
さて、株主資本比率は脅威の87.2%(H16/10現在)と、かなり高い。
資本の部の内訳は、株主による払込資本が18億円、それに利益剰余金すなわち過去の利益の蓄積が
16億円(H16/10末現在)。
これまでの利益の積み重ねが、会社の財務基盤を強固なものにしているということ。
ということなので、借入金はもちろんゼロ。
流動比率(流動負債に対する流動資産の割合)も409%と余裕の財務安定度。
すごいことだと思いますよ。
ストック・オプション制度は無し。希薄化効果のある潜在株式も無し。
ということで、財務内容もシンプル。
理解しやすいシンプルな財政状態は、私の好むところでもあります。
ところで、今朝(2005年2月9日)の日経新聞朝刊に「電子カルテ義務化」の見出しが躍っていました。
その内容は、政府の規制改革・民間開放推進会議が、医療の質向上を図って、2005年度中に
医師免許更新制度の導入や、医療機関に電子カルテの導入を義務付けることなどを提言したというもの。
ひょっとして追い風?(⇒と思ったら案の定、暴騰しましたね)
さて、気になる株価は、2005年2月9日の終値で2,095円。
PER(株価収益率)は39.4倍(日経金融新聞より)。
市場は会社の成長力を高く買っている、ということなのでしょうか?
安いとは決していえない水準ですね。少なくともばへっと的には。
今回はちょっと(というかかなり)長くなりましたけれど、最後まで読んでくれてどうもありがとう。
みなさんの分析リクエスト、これからもお待ちしていますよ。
コメントも入れてくださいね。チャオ!
ばへっと
2005.2.10
発行:楽しい投資研究所
http://www.1toushi.com/
Presented by 楽しい投資研究所
www.1toushi.com
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