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特製!会社分析レポート 04

4705 クリップコーポレーション 編 (2004.10.19 作成)

さて、ずいぶんお待たせしました。
今回は、かねてから人気の株式会社クリップコーポレーションを取り上げます。

いつものごとく、実績から入りますよ。
直近のROE(自己資本利益率)は24.6%。
いい感じだね。
資本効率の高さは株主から見て、経営者がよい仕事をしている大事な指標だよ。
前期も25.4%と高水準。
売上高も順調に右肩上がりの成長を続けている。
自己資本比率、こちらも63.7%と高水準。
安心してみていられる自己資本の厚さじゃないですかね。

ところでどんな事業をやってる会社なのかなと、『事業の内容』を見てみました。
子会社は3つ。
すべて連結した上で、決算書が作られているってさ。

■教育事業:学習塾の運営。
■スポーツ事業:サッカー教室の運営。
■住宅関連商品事業:住宅関連商品の販売・施工。
■その他の事業:ダンス教室の運営。

塾経営の会社という先入観があったけれども、けっこう多角的に事業展開しているんだね。
投資する側としては、経営陣が、多角化されている事業をどれだけ上手にマネジしているかが
何より気になるところ。
こういうときに便利な情報が、『事業の種類別セグメント情報』ってやつだよ。

読んでみました。
売上高ベースでは、教育事業から最大の収入(1,470百万円。売上全体の51%)を
得ているんだね。
ところが営業利益ベースで見ると、スポーツ事業が稼ぎ頭だということ(386百万円。
営業利益全体の62%)が分かったよ。

このスポーツ事業、ここ数期間の間に、収入・利益とも、すごい勢いで伸びてきている。
すごいな、サッカー教室。
ワールドカップで勢いづいたか?

これに対して住宅関連商品事業は、少なくとも直近の四期を通じて営業赤字。
ドライにいってみれば、足を引っ張っているのがこの事業。
赤字なのに続けているのは、なぜなのか?そこまでは分からないんだけど、もしばへっとが
株主だったら、そろそろ撤退を考えてもらっていいかなーなんて思うかもね。

ところで、気になる大株主はどうでしょう?
筆頭株主は株式会社平和堂の20.63%。
次いで代表取締役の井上憲氏の20.11%。
それから木村氏、井上氏ともに4.83%と続くのだけれど、住所を見ると上位4者がみなさん同じ。
ご家族でしょうね。

ちなみに筆頭の平和堂は井上憲氏が代取を勤める会社。
これは『役員の状況』に記されている略歴から見て取れるよ。

要するに、井上一族が牛耳っている会社ということ。

経営者と大株主が一致しているのは、投資する側にとって安心材料のひとつ。
所有と経営が分離している株式会社にとって、経営者と株主の利益相反というのは、永遠の
課題だからね。

何度も書いているけれど、影響力のある大株主が経営に携わってくれることで、一般株主も、
経営者が株主の立場に立って経営してくれていることを強く期待できるわけだからね。
好感、というわけ。

ところで経営陣のインタビュー記事とか探したんだけど、残念ながら、見当たりませんでした。

また、簿外債務といった点では、特に目立ったものはなく、シンプルな財務内容に、これまた好感。
デリバティブ取引も、ストックオプションとかも手がけてない。

強いてあげれば、リース債務13百万円がB/Sには載って来ていないんだけど、これもほとんど
同額のリース資産が簿外になってることを考えれば、金額的にも質的にも、財務内容に大きな
影響を与えるものではない。

ひと通りながめてみて、けっこういい会社じゃない?と思いましたよ。

ちなみに2004年10月18日の終値は1,040円。
PERは日経金融新聞ベースで9.6倍。
ほほう……

個人的には特に、学習塾やサッカー教室の運営内容を実際に見る機会があったら、見たいね。
ぜひ。
それで悪印象とかなかったら、買っちゃうかも。

というわけで、これまたいい感じの掘り出し物を見っけた気分ですよ、ばへっとは。

今回は間が開いてごめんなさいね。
これからウチの業界、繁忙期なもので、更新が遅れるかもしれないけど、そこんところはカンベンね。

では引き続き、みなさんからのリクエスト、お待ちしていますよ。

ではね。
ボンソワ。


ばへっと

Oct. 19, 2004

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